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HITO TSUMUGI / 006

「社員のために」が、なぜ伝わらない?職場のすれ違いを人ではなく環境から考える

伝えたのに伝わらない職場のすれ違いを、本人の性格だけで決めつけず、言葉・前提・タイミング・手段・関係性・職場環境から整理します。

まず3分で

「社員のために言っているのに、伝わらない。」

「ちゃんと説明したのに、なぜ分かってくれないんだろう。」

職場では、こうしたすれ違いが起きます。

このとき、

最近の若い人は…

あの人はコミュニケーションが苦手だから…

と、本人の性格や世代だけで説明すると、見えなくなるものがあります。

厚生労働省の「こころの耳」では、職場環境の改善を考えるとき、仕事の量と質、人間関係、組織・人事労務管理、職場文化・風土、コミュニケーションなど、幅広い要素を見る考え方が示されています。

つまり、確認するのは「人」だけではありません。

伝わりにくい環境になっていないか。

という視点も必要です。

この記事では、職場のすれ違いを、誰かを責めずに整理する方法を考えます。


1|「伝えた」と「届いた」は、同じではない

上司が説明した。

メールを送った。

会議で話した。

それでも、相手が同じように受け取っているとは限りません。

伝える側には、

  • 前提知識
  • 経験
  • 背景事情
  • 目的

があります。

一方、受け取る側には、別の経験や状況があります。

だから、

言ったかどうか

だけではなく、

どう届いたか

まで確認する必要があります。

ひと紡ぎPOINT

「伝わらない人」を探すより、伝える側と受け取る側の間に何があるかを見る方が、次の改善につながります。


PERSON + ENVIRONMENT

本人だけでなく、周りの条件も見る。

本人経験・受け取り方・状態
上司・関係性話しやすさ・聞き方
仕事量・質・時間
仕組み1on1・情報共有・管理
職場文化相談しやすさ・風土
環境設備・健康・働き方

2|人ではなく、「環境」も見る

厚生労働省「こころの耳」では、職場環境の改善として、作業環境や作業方法だけでなく、

  • 労働時間
  • 仕事の量と質
  • 職場の人間関係
  • 組織・人事労務管理体制
  • 職場の文化・風土
  • コミュニケーション

なども含めて考える視点が示されています。

これは、すれ違いを考えるときにも参考になります。

本人へ「もっと話して」と言う前に、

  • 話す時間があるか
  • 話しても大丈夫と思えるか
  • 上司が忙しすぎないか
  • 相談した後に不利益がないか
  • 何を相談してよいか分かるか

を確認する。

人を変える前に、環境を見る。

それだけで見え方が変わります。


FIVE GAPS

すれ違いは、5つの場所で起きる。

01言葉
02前提
03タイミング
04手段
05関係性

3|すれ違いは、5つの場所で起きる

01|言葉

専門用語や社内用語を、相手も同じ意味で使っているとは限りません。

02|前提

「当然知っているはず」という前提が違うことがあります。

03|タイミング

忙しいとき、焦っているとき、他の問題を抱えているときは、同じ言葉でも入り方が変わります。

04|手段

口頭、メール、チャット、資料、1on1。

内容によって合う手段は違います。

05|関係性

同じ言葉でも、安心して話せる相手と、緊張する相手では受け取り方が変わります。

ひと紡ぎPOINT

「もっと分かりやすく話す」だけでなく、言葉・前提・タイミング・手段・関係性を分けて見ると、原因を探しやすくなります。


4|傾聴は、“優しくする技術”だけではない

厚生労働省「こころの耳」では、部下の話を聴くときの傾聴について、ラインによるケアの一部として紹介しています。

傾聴というと、

相手に優しくすること

と思われがちです。

でも、職場ではもう一つ意味があります。

自分が見えていない情報を受け取ること。

です。

現場で何が起きているか。

どこで詰まっているか。

何を負担に感じているか。

何がうまくいっているか。

聞かなければ分からない情報があります。

だから、傾聴は相手の理解と、仕事や環境の改善を一緒に考えるための土台にもなります。話された内容は、本人への配慮と必要な共有範囲を守って扱います。


5|タイプ診断は、人を決めるものではない

人の違いを理解するために、タイプ診断や行動傾向分析を使う会社もあります。

ここで注意したいのが、

あなたはこのタイプだから、こういう人。

と決めつけることです。

診断結果は、本人そのものではありません。

その時点の回答や傾向から、対話を始める材料の一つです。

Seeseeでも、こうしたツールを対話の補助に使う場合、

診断結果=その人

にはしません。

ひと紡ぎPOINT

ラベルを付けるためではなく、

この人には、どう伝えると届きやすいだろう。

と考えるための共通言語として使います。


COMMON LANGUAGE

人を決めつけず、対話の材料を増やす。

01自己理解自分の傾向を知る
02他者理解違いを知る
03対話伝え方を考える
04環境調整関係・仕組みを整える

6|共通言語を持つ意味

職場のすれ違いは、感覚の話になりやすいものです。

「普通はこうでしょ。」

「なんとなく合わない。」

「やる気がないように見える。」

こうした感覚だけでは、話し合いが難しくなります。

そこで、

  • 自分はどう受け取りやすいか
  • 相手はどう受け取りやすいか
  • 何が違うか
  • どう伝えればよいか

を共通の言葉にすると、話しやすくなることがあります。

自己理解。

他者理解。

対話。

環境調整。

この順番で考えると、

相手を変える

から、

関係や環境を調整する

へ視点を移しやすくなります。


7|自社の場合を考える

もし、「伝えたのに伝わらない」が繰り返されているなら、次を確認してみてください。

  • 言葉は同じ意味で使われているか
  • 前提知識はそろっているか
  • 話すタイミングは合っているか
  • 手段は適切か
  • 関係性に緊張がないか
  • 仕事量や時間に余裕があるか
  • 話しても大丈夫な環境か

本人だけを見ると、

あの人を変えないと

になります。

環境まで見ると、選択肢が増えます。


自社で考える

伝え方の例|善意を、相手が判断できる情報へ

「あなたのためだから受けてほしい」という研修案内を例に考えます。まず、何に役立つと考えたのか、参加時間をどう確保するのか、本人は何を学びたいのかを分けて話します。受け入れられなかった理由が、研修内容ではなく仕事の負担にあることも考えられます。

これは特定の社員を変えるための話法ではありません。会社の意図と本人の状況を両方出し、研修以外の方法や今回は見送る方法も含めて考えるための例です。

8|よくある質問

Q. 部下が話さないのは、本人の問題ですか?

本人の性格だけで決めることはできません。関係性、仕事量、タイミング、話す場、職場文化なども確認します。

Q. 1on1を増やせば改善しますか?

回数を増やすだけで改善するとは限りません。目的、話しやすさ、上司側の聞き方、業務状況などを含めて見ます。

Q. タイプ診断で社員を分類するのですか?

Seeseeでは、診断結果をその人そのものとは考えません。対話や伝え方を考える材料として扱います。

Q. 若手とベテランで伝え方を変えるべきですか?

年齢だけで決めつけず、個人の経験、役割、状況、受け取り方を確認します。

Q. コミュニケーション研修だけで変わりますか?

コミュニケーション以外にも、仕事量、人間関係、管理体制、職場文化等が関係する場合があります。研修だけを答えにしないことが大切です。


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編集更新:2026年10月9日。制度・統計は掲載した資料の対象と時点をご確認ください。

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