まず3分で
「社員のために言っているのに、伝わらない。」
「ちゃんと説明したのに、なぜ分かってくれないんだろう。」
職場では、こうしたすれ違いが起きます。
このとき、
最近の若い人は…
あの人はコミュニケーションが苦手だから…
と、本人の性格や世代だけで説明すると、見えなくなるものがあります。
厚生労働省の「こころの耳」では、職場環境の改善を考えるとき、仕事の量と質、人間関係、組織・人事労務管理、職場文化・風土、コミュニケーションなど、幅広い要素を見る考え方が示されています。
つまり、確認するのは「人」だけではありません。
伝わりにくい環境になっていないか。
という視点も必要です。
この記事では、職場のすれ違いを、誰かを責めずに整理する方法を考えます。
1|「伝えた」と「届いた」は、同じではない
上司が説明した。
メールを送った。
会議で話した。
それでも、相手が同じように受け取っているとは限りません。
伝える側には、
- 前提知識
- 経験
- 背景事情
- 目的
があります。
一方、受け取る側には、別の経験や状況があります。
だから、
言ったかどうか
だけではなく、
どう届いたか
まで確認する必要があります。
ひと紡ぎPOINT
「伝わらない人」を探すより、伝える側と受け取る側の間に何があるかを見る方が、次の改善につながります。
PERSON + ENVIRONMENT
本人だけでなく、周りの条件も見る。
2|人ではなく、「環境」も見る
厚生労働省「こころの耳」では、職場環境の改善として、作業環境や作業方法だけでなく、
- 労働時間
- 仕事の量と質
- 職場の人間関係
- 組織・人事労務管理体制
- 職場の文化・風土
- コミュニケーション
なども含めて考える視点が示されています。
これは、すれ違いを考えるときにも参考になります。
本人へ「もっと話して」と言う前に、
- 話す時間があるか
- 話しても大丈夫と思えるか
- 上司が忙しすぎないか
- 相談した後に不利益がないか
- 何を相談してよいか分かるか
を確認する。
人を変える前に、環境を見る。
それだけで見え方が変わります。
FIVE GAPS
すれ違いは、5つの場所で起きる。
3|すれ違いは、5つの場所で起きる
01|言葉
専門用語や社内用語を、相手も同じ意味で使っているとは限りません。
02|前提
「当然知っているはず」という前提が違うことがあります。
03|タイミング
忙しいとき、焦っているとき、他の問題を抱えているときは、同じ言葉でも入り方が変わります。
04|手段
口頭、メール、チャット、資料、1on1。
内容によって合う手段は違います。
05|関係性
同じ言葉でも、安心して話せる相手と、緊張する相手では受け取り方が変わります。
ひと紡ぎPOINT
「もっと分かりやすく話す」だけでなく、言葉・前提・タイミング・手段・関係性を分けて見ると、原因を探しやすくなります。
4|傾聴は、“優しくする技術”だけではない
厚生労働省「こころの耳」では、部下の話を聴くときの傾聴について、ラインによるケアの一部として紹介しています。
傾聴というと、
相手に優しくすること
と思われがちです。
でも、職場ではもう一つ意味があります。
自分が見えていない情報を受け取ること。
です。
現場で何が起きているか。
どこで詰まっているか。
何を負担に感じているか。
何がうまくいっているか。
聞かなければ分からない情報があります。
だから、傾聴は相手の理解と、仕事や環境の改善を一緒に考えるための土台にもなります。話された内容は、本人への配慮と必要な共有範囲を守って扱います。
5|タイプ診断は、人を決めるものではない
人の違いを理解するために、タイプ診断や行動傾向分析を使う会社もあります。
ここで注意したいのが、
あなたはこのタイプだから、こういう人。
と決めつけることです。
診断結果は、本人そのものではありません。
その時点の回答や傾向から、対話を始める材料の一つです。
Seeseeでも、こうしたツールを対話の補助に使う場合、
診断結果=その人
にはしません。
ひと紡ぎPOINT
ラベルを付けるためではなく、
この人には、どう伝えると届きやすいだろう。
と考えるための共通言語として使います。
COMMON LANGUAGE
人を決めつけず、対話の材料を増やす。
6|共通言語を持つ意味
職場のすれ違いは、感覚の話になりやすいものです。
「普通はこうでしょ。」
「なんとなく合わない。」
「やる気がないように見える。」
こうした感覚だけでは、話し合いが難しくなります。
そこで、
- 自分はどう受け取りやすいか
- 相手はどう受け取りやすいか
- 何が違うか
- どう伝えればよいか
を共通の言葉にすると、話しやすくなることがあります。
自己理解。
他者理解。
対話。
環境調整。
この順番で考えると、
相手を変える
から、
関係や環境を調整する
へ視点を移しやすくなります。
7|自社の場合を考える
もし、「伝えたのに伝わらない」が繰り返されているなら、次を確認してみてください。
- 言葉は同じ意味で使われているか
- 前提知識はそろっているか
- 話すタイミングは合っているか
- 手段は適切か
- 関係性に緊張がないか
- 仕事量や時間に余裕があるか
- 話しても大丈夫な環境か
本人だけを見ると、
あの人を変えないと
になります。
環境まで見ると、選択肢が増えます。
自社で考える
伝え方の例|善意を、相手が判断できる情報へ
「あなたのためだから受けてほしい」という研修案内を例に考えます。まず、何に役立つと考えたのか、参加時間をどう確保するのか、本人は何を学びたいのかを分けて話します。受け入れられなかった理由が、研修内容ではなく仕事の負担にあることも考えられます。
これは特定の社員を変えるための話法ではありません。会社の意図と本人の状況を両方出し、研修以外の方法や今回は見送る方法も含めて考えるための例です。
8|よくある質問
Q. 部下が話さないのは、本人の問題ですか?
本人の性格だけで決めることはできません。関係性、仕事量、タイミング、話す場、職場文化なども確認します。
Q. 1on1を増やせば改善しますか?
回数を増やすだけで改善するとは限りません。目的、話しやすさ、上司側の聞き方、業務状況などを含めて見ます。
Q. タイプ診断で社員を分類するのですか?
Seeseeでは、診断結果をその人そのものとは考えません。対話や伝え方を考える材料として扱います。
Q. 若手とベテランで伝え方を変えるべきですか?
年齢だけで決めつけず、個人の経験、役割、状況、受け取り方を確認します。
Q. コミュニケーション研修だけで変わりますか?
コミュニケーション以外にも、仕事量、人間関係、管理体制、職場文化等が関係する場合があります。研修だけを答えにしないことが大切です。
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編集更新:2026年10月9日。制度・統計は掲載した資料の対象と時点をご確認ください。