まず3分で
「会社から出たごみだから、全部産業廃棄物ですよね?」
実務では、この理解だけで分けると間違えることがあります。
会社や事務所から出たごみでも、すべてが産業廃棄物になるわけではありません。
確認したいのは、
- 何が出たのか
- どこから出たのか
- どの事業活動で出たのか
- 業種の条件がある種類か
- 地域の一般廃棄物ルールにどうつながるか
です。
「燃えるごみ」「燃えないごみ」という分け方は、日常の分別には便利です。
ただし、法律上の「産業廃棄物」「一般廃棄物」の区分とは、同じではありません。
この記事では、事務所・営業所・倉庫などで日常的に出るごみを、どんな順番で整理すると分かりやすいのかを見ていきます。
1|会社から出た=全部産業廃棄物、ではない
廃棄物処理法では、廃棄物は大きく「一般廃棄物」と「産業廃棄物」に分かれます。
産業廃棄物は、事業活動に伴って生じた廃棄物のうち、法令で定められた種類です。
そのため、会社から出たものでも、産業廃棄物の種類や条件に当てはまらなければ、事業系一般廃棄物として扱われるものがあります。
FACT
産業廃棄物には、業種を問わず対象になりやすい種類と、業種・発生工程等の条件がある種類があります。
たとえば、廃プラスチック類、金属くず、ガラスくず・コンクリートくず及び陶磁器くずなどは、事業活動に伴って生じた場合に産業廃棄物として考える種類です。
一方、紙くず、木くず、繊維くず、動植物性残さなどには、業種等の条件があります。
ひと繋ぎPOINT
「会社のごみ」という一括りで見るより、まず素材と発生工程に分ける方が、判断しやすくなります。
DIAGRAM / CHECK ORDER
事務所ごみは、4段階で見る。
2|最初に見るのは「燃える/燃えない」ではない
事務所の分別表には、
- 可燃
- 不燃
- 缶
- びん
- ペットボトル
- 資源物
といった表示がよくあります。
これは日常運用としては分かりやすい方法です。
ただ、法的区分を確認するときは、別の順番で考える必要があります。
確認の順番
- 何という物か
- 主な素材は何か
- どこで、どの工程から出たか
- 業種等の限定がある種類か
- 現在どのルートで処理しているか
- 一般廃棄物側は自治体ルールを確認する必要があるか
この順にすると、「見た目が似ているから同じごみ」という判断を減らせます。
EXAMPLES
名前ではなく、素材と発生状況で確認する。
3|事務所でよく出るものは、どう考える?
ここでは、よくある例を「考え方」として整理します。
コピー用紙・書類
紙くずは、産業廃棄物になる業種等が限定されています。
一般的なオフィスから日常的に出るコピー用紙などは、事業系一般廃棄物として扱われる場面があります。
ただし、機密文書の処理、リサイクルルート、自治体の受入条件などは別に確認が必要です。
プラスチック製の弁当容器・包装材
事業活動に伴って出る廃プラスチック類は、産業廃棄物として考える必要があります。
中身が食品だったかどうかだけでなく、容器そのものの素材を見ます。
空き缶
金属くずとして、産業廃棄物の区分を確認します。
びん・ガラス製品
ガラスくず等として、産業廃棄物の区分を確認します。
弁当の食べ残し・生ごみ
動植物性残さは、対象となる業種が限定されています。
そのため、一般的なオフィスの食べ残しを「食品だから全部産業廃棄物」とは考えません。
事業系一般廃棄物としての扱いと、自治体のルールを確認します。
木製品・木片
木くずも業種や発生状況で扱いが変わります。
また、貨物の流通のために使用したパレットなど、別の条件で産業廃棄物となるものもあります。
ひと繋ぎPOINT
物の名前だけでなく、素材・用途・発生場所をセットで記録すると、判断の精度が上がります。
4|業種によって扱いが変わるものがある
産業廃棄物20種類のうち、すべてが「どの業種でも同じ扱い」ではありません。
環境省の資料でも、紙くず、木くず、繊維くず、動植物性残さなどについて、指定業種や発生状況が示されています。
この違いがあるため、
「前の会社では産廃だった」
という経験だけで判断するのは危険です。
同じ紙でも、どの事業活動から出たかで確認が変わることがあります。
CURRENT STATE
分別箱を増やす前に、6つを見る。
5|分別箱を増やす前に、「出口」を見ておく
ごみの改善というと、まず分別箱を増やしたくなります。
でも、分別数を増やすことが必ずしも改善とは限りません。
先に確認したいのは、
- 月にどれくらい出ているか
- 今の分別で困っているか
- 保管場所は足りているか
- 回収頻度は合っているか
- 契約と実際の排出物が合っているか
- リサイクル・資源化できるものが混ざっていないか
- 管理担当者の手間が大きすぎないか
です。
分別は「細かいほど良い」のではなく、出口と運用がつながって初めて意味があります。
6|一般廃棄物側は、自治体ルールも確認する
事業系一般廃棄物は、地域の収集・搬入方法と関係します。
そのため、全国一律の説明だけで「この出し方で大丈夫」とは言えません。
具体的には、
- 事業者が利用できる収集方法
- 許可業者への委託
- 自己搬入
- 分別方法
- 受入できない物
などを、所在する自治体の一次情報で確認します。
FACT
法令上の分類と、自治体の収集・搬入ルールは別の層の話です。
ひと繋ぎPOINT
「分類を確認する」→「地域の出し方を確認する」の順に分けて考えると混乱しにくくなります。
7|判断に迷ったときの確認順
迷ったら、次の順で整理してみてください。
STEP 1
何が出ているかを一覧にする。
STEP 2
素材・発生工程・排出場所を書く。
STEP 3
産業廃棄物20種類に該当するか確認する。
STEP 4
業種等の条件がある種類か確認する。
STEP 5
一般廃棄物側は自治体ルールを確認する。
STEP 6
処理先・契約・回収・保管が実態と合っているか確認する。
この6つを並べるだけでも、事務所ごみの「なんとなく分別」から一歩進めます。
ANOTHER SITUATION
日常の事務所ごみと、移転・退去時の「残置物」は分けて考える
日常的な事務所ごみとは別に、移転・退去・倉庫整理などでは、一度に多くの不要物が出ることがあります。
机、椅子、棚、OA機器、書類、プラスチック製品、金属製品などが混在すると、見た目には「全部まとめて不要品」に見えます。
しかし、実際には素材、所有者、発生経緯、まだ使えるか、情報が残っていないか、廃棄物としての区分は何かを分けて確認する必要があります。
「大量に残っているから、まとめて同じごみ」ではありません。
日常排出と一時的な片付けを分け、品目ごとに再使用・資源化・適正処理の出口を確認します。住居由来の物や前使用者の物が混ざる場合は、誰がどの経緯で排出するのかも含めて自治体・関係者へ確認します。
自社で考える
自社で試す|分別表と実物を並べてみる
分別表では「可燃」でも、実際の袋には紙、プラスチック容器、食べ残しが混ざっているかもしれません。代表的な品目を写真や名称で整理し、担当者と回収先で認識が合っているか確認します。中身が不明な物や危険物を、確認のために素手で触ったり開けたりする必要はありません。
分類が決まったら、現場には法律用語だけでなく「何を、どの箱へ」の具体例を示します。迷う品目の相談先も決めておくと、新しい社員にも引き継ぎやすくなります。
8|よくある質問
Q. オフィスの弁当がらは全部産業廃棄物ですか?
一括では判断できません。食べ残しとプラスチック容器では確認する区分が異なります。中身・素材・発生状況を分けて考えます。
Q. コピー用紙は産業廃棄物ですか?
紙くずは業種等の条件があります。一般的なオフィスの日常的な紙ごみは、事業系一般廃棄物として扱われる場面があります。具体的な出し方は自治体ルールも確認します。
Q. プラスチックの容器は?
事業活動に伴って生じた廃プラスチック類として確認します。
Q. 家庭ごみの集積所に出してよいですか?
事業系一般廃棄物の収集・排出方法は自治体ルールを確認する必要があります。家庭ごみと同じ出し方ができるとは限りません。
Q. 分別が合っているか分かりません。
排出物の一覧、量、保管、現在の処理先、契約を並べると整理しやすくなります。必要に応じて自治体や許可業者などの一次情報・実務条件を確認します。
9|自社の場合を考える
事務所ごみの見直しは、処理費だけの話ではありません。
分別、保管、回収頻度、契約、資源化、担当者の管理負担までつながっています。
現在の処理先で続けられる方法も含めて、分別や回収条件を比較します。
今の方法で合っているものは残し、確認が必要なところだけを整理する。
それも一つの改善です。
SOURCE|根拠を確認する
編集更新:2026年10月9日。制度・統計は掲載した資料の対象と時点をご確認ください。