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HITO TSUMUGI / 002

「働く環境」とは?働きやすさだけではない会社づくり

働く環境は、設備や福利厚生だけではありません。安全・健康・対話・マネジメント・成長・暮らしとの関係まで含め、会社が確認したい視点を整理します。

まず3分で

「働く環境を良くする」と聞くと、

  • オフィスをきれいにする
  • 福利厚生を増やす
  • 残業を減らす

といったことを思い浮かべるかもしれません。

もちろん、それも働く環境の一部です。

でも、働く環境はもっと広く、

  • 労働時間や仕事量
  • 仕事の進め方
  • 安全と心身の健康
  • 人間関係やコミュニケーション
  • 役割や評価、マネジメント
  • 組織の文化や風土
  • 学びや成長の機会
  • 福利厚生や暮らしとのつながり

などが重なってできています。

だから、何かうまくいかないときに、すぐ「本人の性格」「やる気」「最近の若手」と決めるのではなく、環境側から確認できることがあります。


「働く環境」に一つの正解はない

この記事では、会社が働く環境を見直すための視点を整理します。

会社によって、仕事も人数も地域も違います。

工場とオフィスでも違いますし、同じ会社でも部署や役割によって必要な環境は変わります。

そのためSeesee Mediaでは、厚生労働省が示す職場環境改善の考え方や、中小企業庁の人材確保・活用に関する分析を基に、自社で確認するための視点として整理します。


厚生労働省は「職場環境」を広く見ている

厚生労働省のメンタルヘルス対策では、職場環境の改善について、物理的な作業環境だけでなく、労働時間、仕事の量と質、人間関係、組織、人事労務管理、文化・風土、コミュニケーションなど幅広い要素を考慮する考え方が示されています。

別の職場環境改善資料でも、

  • 過大・過小な仕事量を避ける
  • 勤務形態へ配慮する
  • 役割や責任を明確にする
  • 将来や昇進・昇級の機会を明確にする
  • 良い人間関係を保つ
  • 仕事の意義や技術を活かせる設計にする
  • 意思決定へ参加する機会をつくる

といった視点が挙げられています。

FACT

「働く環境」は、設備だけでも、本人の気持ちだけでもありません。

ひと紡ぎPOINT

人の問題に見えるときほど、仕事・関係・仕組み・物理環境を一緒に見る。


Seesee Mediaで考える「働く環境」6つの視点

6 VIEWS

働く環境を、6つの視点から見る。

01時間・負荷労働時間、仕事量、休みやすさ
02安全・健康身体、心、暑熱、設備、回復
03対話・関係伝え方、1on1、相談、人間関係
04組織・仕組み役割、評価、勤怠、マネジメント
05成長・活躍教育、自己理解、能力発揮
06暮らし・つながり福利厚生、食、両立、地域

この6項目は、読者の皆さまが自社の状況を確認しやすいよう、Seesee Mediaが整理したもので、法令上の分類ではありません。

ここからは、公式資料の考え方をもとに整理した6つの視点から、自社の状況を確認していきます。

1|時間・負荷

  • 労働時間
  • 残業
  • 仕事量
  • 繁忙期の偏り
  • 休みやすさ
  • 業務負担

「忙しい人が頑張る」で成り立っていないかを見ます。

2|安全・健康

  • 作業環境
  • 暑さ・寒さ
  • 設備
  • 身体負荷
  • 心の健康
  • 休息・回復

熱中症対策のように、人だけでなく建物や設備から見直せることもあります。

3|対話・関係

  • 日常のコミュニケーション
  • 1on1
  • 相談しやすさ
  • 伝え方・受け取り方
  • ハラスメント
  • 上司と部下、同僚間の関係

「言ったのに伝わらない」を、どちらか一方の性格だけで終わらせません。

4|組織・仕組み

  • 役割
  • 評価
  • 勤怠
  • 人事労務
  • マネジメント
  • 意思決定
  • 情報共有

仕組みが曖昧なために、個人同士の問題に見えていることもあります。

5|成長・活躍

  • 教育・研修
  • 自己理解
  • 他者理解
  • 技術を活かす機会
  • キャリア
  • 意見を出せる機会

人材育成は、「足りないものを直す」だけではなく、今ある強みを活かす視点も必要です。

6|暮らし・つながり

  • 福利厚生
  • 食
  • 家庭との両立
  • 柔軟な働き方
  • 地域との関係

働く人は、会社の中だけで生活しているわけではありません。


「人の問題」に見えるときほど、環境側も確認する

LOOK AGAIN

「本人の問題」で終わらせる前に。

起きていること 話さない/伝わらない/続かない
環境側でも確認 仕事量伝え方役割仕組み心身設備

例えば、「最近、社員が話さない」という悩みがあったとします。

本人の積極性だけを見る前に、

  • 話す時間が確保されているか
  • 上司からの問い方はどうか
  • 話した内容が不利益にならない安心感があるか
  • 1on1の目的が共有されているか
  • 業務が忙しすぎないか
  • 役割や期待が曖昧ではないか

を見ると、別の入口が見えてきます。

「人を変える前に、人が力を発揮できる環境を考える。」

これは、本人の責任をなくすという意味ではありません。

個人と環境の両方を見ることで、決めつけを減らすという考え方です。


2026年版中小企業白書から見る「組織」と人材

2026年版中小企業白書・小規模企業白書の概要では、従業員の労務管理や組織活性化と、人材の確保・定着との関係が分析されています。

働きがいやエンゲージメントの維持・向上のために取り組んでいることとして、

  • 賃金・賞与の引上げ 55.3%
  • 柔軟な働き方の導入 49.8%
  • 社内コミュニケーションの活性化 44.9%
  • 従業員の意見の積極的な取り入れ 38.0%
  • 福利厚生の充実 27.2%
  • 教育・研修の実施 17.1%
  • 理念・ビジョンの共有 16.3%

などが示されています(この設問の回答企業数 n=2,781)。これは施策への取組状況を示す数字で、施策の効果や成功率ではありません。

また、白書概要では、残業時間の傾向と従業員の定着状況、組織活性化への取組状況と採用実績について、それぞれ分布の違いが示されています。

DATAの読み方

ここで大切なのは、「この施策をすれば必ず採用・定着が良くなる」と言い切らないことです。

白書は傾向を考える材料です。

会社ごとに、仕事内容、地域、賃金、経営状況、人員構成など条件が違うため、自社の現在地と一緒に読みます。


「今ある良いもの」も確認する

職場改善というと、悪いところを探す作業になりがちです。

でも、

  • 相談しやすい先輩がいる
  • 現場の連携が早い
  • 社員が長く続いている部署がある
  • 繁忙期でも助け合う習慣がある
  • 福利厚生が実際に使われている
  • 経営者と現場の距離が近い

といった良いものも、働く環境の一部です。

改善するときに、今うまくいっているものまで壊す必要はありません。

変えないことも、選択肢です。


CURRENT STATE

変えるものだけでなく、残すものも見る。

現在地を知る → 困っていること + 今うまくいっていること → 変える / 残す

働く環境を考える順番

1|現在地を知る

数字、時間、制度だけでなく、現場の声も見る。

2|困っていることを見る

離職、すれ違い、負担、安全、採用など。

3|今うまくいっていることを見る

残すべき人・関係・仕組みを確認する。

4|本人と環境を分けすぎない

個人の特性と、周りの条件を両方見る。

5|選択肢を比較する

研修、対話、制度、設備、業務改善、福利厚生など、目的に合うものを選ぶ。

6|必要なところだけ変える

最初から全部を変えない。


自社で考える

自社で試す|困りごとと、残したい良さを一つずつ

たとえば「忙しくて相談できない」という声があれば、まず、いつ・どの仕事で相談が止まるのかを聞きます。同時に「この先輩には相談しやすい」という既存の良さも確認します。相談先や短い確認時間を決めるなど、今の関係を活かす小さな変更から試せます。

実施後は、制度をつくった数ではなく、相談のしやすさ、仕事の滞り、負担がどう変わったかを本人と確認します。話された個人的な事情は、必要のない範囲へ広めません。

よくある質問

Q. 福利厚生を充実させれば、働く環境は良くなりますか?

福利厚生は一つの要素です。ただし、仕事量や人間関係、役割、設備などに課題があれば、福利厚生だけでは解決しないことがあります。

Q. 社員が辞めるのは本人の問題では?

本人の事情が影響する場合もあります。一方で、労働時間、役割、関係、マネジメント、成長機会など、会社側で確認できる環境もあります。どちらか一方に決めつけないことが大切です。

Q. 1on1を導入すれば定着しますか?

1on1は手段の一つです。目的、問い方、頻度、安心して話せる関係、話した後の対応などによって機能の仕方は変わります。

Q. 診断ツールでタイプ分けすれば解決しますか?

診断結果を「その人そのもの」と考えないことが重要です。自己理解・他者理解や、伝え方を考える材料として使います。

Q. 小さい会社でも取り組む意味はありますか?

人数が少ない会社ほど、一人の負担や関係性が組織全体に影響する場合があります。大がかりな制度導入ではなく、現在地を確認することから始められます。


自社の場合に確認するなら

「何か問題がありますか?」だけではなく、

  • 今困っていること
  • もっと良くしたいこと
  • すでにうまくいっていること
  • 活かせそうな人・仕組み・設備
  • これから実現したいこと

を一緒に見ると、改善の入口が広がります。

まだ何を導入するか決まっていなくても大丈夫です。


ひと紡ぎPOINT

働く人を変える前に、働く人を取り巻く環境を見てみる。

そして、変えるものだけでなく、残したいものも見つける。

それが、働く環境づくりの入口です。


SOURCE|根拠を確認する

編集更新:2026年10月9日。制度・統計は掲載した資料の対象と時点をご確認ください。

SOURCE / EDITORIAL POLICY

出典と更新について

主な確認先:厚生労働省・2026年版中小企業白書等。制度や統計、自治体の取り扱いは変わることがあります。ご判断の際は、掲載した出典と関係機関の最新情報をご確認ください。事実とSeeseeの解釈・問いを分け、分からないことは分からないと扱います。