まず3分で
職場の熱中症対策というと、
- 水分を取る
- 塩分を取る
- 冷却ベストを着る
- 休憩を増やす
といった対策が思い浮かびます。
どれも大切です。
でも、職場全体で見ると、それだけではありません。
2025年6月1日に施行された労働安全衛生規則の改正では、一定の暑熱作業について、
- 熱中症のおそれがある人を早く把握する体制
- 重篤化を防ぐための対応手順
- 関係作業者への周知
などが求められるようになりました。
さらに2026年、厚生労働省は「職場における熱中症防止のためのガイドライン」に基づく対策を呼びかけています。
つまり、熱中症対策は
本人が気をつける話
だけではなく、
職場でどう早く気づき、どう負荷を減らし、どう対応するか
という仕組みの話でもあります。
この記事では、人・作業・設備・建物の4つの層から考えます。
1|熱中症対策は、「本人の注意」だけではない
「水分を取ってください。」
「無理しないでください。」
そう声をかけるだけでは、職場の熱中症対策として十分とは言えません。
暑さの感じ方には個人差があります。
体調にも差があります。
忙しい現場では、本人が不調を言い出せないこともあります。
だから、本人の自己管理に任せすぎず、
- 早く気づく
- 報告できる
- 作業を離れられる
- 冷却できる
- 必要なら医療につなぐ
という職場の仕組みが重要です。
EARLY RESPONSE
早く気づき、重篤化を防ぐ。
2|2025年6月から、職場の対応が強化された
厚生労働省は、職場の熱中症による重篤化を防ぐため、労働安全衛生規則を改正し、2025年6月1日から施行しました。
対象となる暑熱作業では、熱中症のおそれがある人を早く見つけ、対応するための体制づくりが重要になります。
FACT
改正では、一定の条件に該当する暑熱作業について、
- 熱中症のおそれがある作業者を把握するための報告体制
- 重篤化を防止するための措置の実施手順
- 関係作業者への周知
が求められています。
ここで大切なのは、
暑い職場すべてに、全く同じ設備を入れなければならない
という話ではないことです。
作業環境と対象条件を確認し、必要な体制と対策を整えます。
対象となる作業の目安
WBGT値28℃以上、または気温31℃以上の環境で、継続して1時間以上、または1日4時間を超えて行うことが見込まれる作業が対象です。条件を下回る場合も、熱中症が疑われる人がいれば対応が必要です。数値を「ここまでなら安全」という境界にはしません。
3|2026年ガイドラインから見る、対策の全体像
2026年の厚生労働省「STOP!熱中症 クールワークキャンペーン」では、新しい「職場における熱中症防止のためのガイドライン」に基づく対策が呼びかけられています。
特に、
- WBGT値の把握
- 早期発見体制
- 重篤化防止手順
- 関係者への周知
- 健康状態への配慮
などが重要です。
熱中症対策は、一つの商品で解決するものではありません。
複数の対策を組み合わせます。
4|WBGTとは何を見る指標?
WBGTは、暑熱環境による身体への負担を評価するための指標です。
気温だけでなく、
- 湿度
- 風速
- 輻射熱
なども考慮します。
つまり、同じ気温でも、直射日光が強い、機械から熱が出ている、風がない、湿度が高いといった条件で負担は変わります。
ひと繋ぎPOINT
「室温何℃か」だけでなく、作業者がどんな暑熱負荷を受けているかを見るためにWBGTを使います。
ただし、WBGTを測るだけで対策が終わるわけではありません。
FOUR LAYERS
熱中症対策は、人だけでなく4層で見る。
5|人・作業・設備・建物の4層で考える
01|人
体調、持病、睡眠、暑熱順化、服装、水分・塩分、本人の訴えなど。
02|作業
作業時間、休憩、作業強度、時間帯、人員配置、連続作業など。
03|設備
空調、スポットクーラー、換気、送風、機械発熱、設備配置など。
04|建物
屋根、外壁、日射、輻射熱、断熱・遮熱、開口部など。
この4つを分けて見ると、対策の選択肢が増えます。
HEAT LOAD
「もっと冷やす」前に、熱の入り方を見る。
6|空調を強くする前に、「負荷」を見る
工場や倉庫で暑いと、空調設定を下げたり、風量を上げたりしたくなります。
必要な場合もあります。
でも、建物や設備から大きな熱負荷が入り続けていると、空調側の負担も大きくなります。
確認したいのは、
- 屋根・外壁への日射
- 輻射熱
- 機械・炉・設備からの発熱
- 外気流入
- 室外機周辺の環境
- 気流
- 空調の運転状況
です。
ひと繋ぎPOINT
「もっと冷やす」だけでなく、
そもそも、どこから熱が入っているのか。
を見ることが大切です。
7|遮熱・断熱などを検討するときの確認項目
遮熱塗装、断熱材、屋根改修、空調設備などは、現場の状況や施工条件を確認して比較します。
確認したいのは、
- どこが熱いか
- いつ熱いか
- 表面温度と作業環境の関係
- 空調負荷
- 作業エリア
- 施工可能範囲
- 建物用途
- 投資額
- 維持管理
です。
効果は、建物、設備、施工、気象、運用条件等で変わります。
この商品を使えば必ず○℃下がる
という一律の説明ではなく、条件と測定方法を確認して判断します。
自社で考える
現場で決める|連絡先だけでなく、誰が動くか
緊急連絡先を掲示するだけでなく、異変を見つけた人が誰へ知らせ、誰が作業を止め、誰が冷却や救急要請を担当するかを決めます。担当者が不在の場合や、一人で作業する場合の連絡方法も含めて確認します。
具体的な対応は厚生労働省の手順例を基に整えます。様子がおかしい人を一人にせず、意識や応答に異常があるなど緊急性が疑われるときは、救急要請と身体の冷却を速やかに行う体制にします。
8|よくある質問
Q. 2025年から、何が義務になったのですか?
一定の暑熱作業について、熱中症のおそれがある作業者を把握する報告体制、重篤化を防ぐ対応手順、関係者への周知等が求められるようになりました。対象条件は厚生労働省の一次情報で確認します。
Q. WBGTを測れば十分ですか?
いいえ。WBGTは重要な判断材料ですが、作業管理、休憩、健康管理、教育、異常時対応等と組み合わせます。
Q. 冷却ベストや飲料だけで十分ですか?
個人対策だけではなく、作業方法、休憩、設備、建物、早期発見・対応体制も確認します。
Q. 空調温度を下げれば解決しますか?
職場条件によります。空調だけでなく、熱の入り方、設備発熱、気流等も確認します。
Q. 遮熱塗料を使えば必ず電気代も下がりますか?
一律に保証できません。建物、空調、施工範囲、気象、運用条件等で結果は変わります。実測条件と根拠を確認して判断します。
DATA
厚生労働省が公表した2025年の確定値では、職場における熱中症による死傷者数(死亡・休業4日以上)は1,803人、そのうち死亡者数は19人です。
すべての熱中症の発生件数を表す数字ではありません。集計対象と対象年をセットで読みます。
SOURCE|根拠を確認する
編集更新:2026年10月9日。制度・統計は掲載した資料の対象と時点をご確認ください。