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HITO TSUNAGI / 008

職場の熱中症対策、何から始める?人を冷やすだけでなく、建物・設備・空調から考える

職場の熱中症対策を、水分補給や冷却用品だけでなく、WBGT、早期発見、作業、設備、建物の4層から整理します。2025年6月施行の対策強化も一次情報から確認します。

まず3分で

職場の熱中症対策というと、

  • 水分を取る
  • 塩分を取る
  • 冷却ベストを着る
  • 休憩を増やす

といった対策が思い浮かびます。

どれも大切です。

でも、職場全体で見ると、それだけではありません。

2025年6月1日に施行された労働安全衛生規則の改正では、一定の暑熱作業について、

  • 熱中症のおそれがある人を早く把握する体制
  • 重篤化を防ぐための対応手順
  • 関係作業者への周知

などが求められるようになりました。

さらに2026年、厚生労働省は「職場における熱中症防止のためのガイドライン」に基づく対策を呼びかけています。

つまり、熱中症対策は

本人が気をつける話

だけではなく、

職場でどう早く気づき、どう負荷を減らし、どう対応するか

という仕組みの話でもあります。

この記事では、人・作業・設備・建物の4つの層から考えます。


1|熱中症対策は、「本人の注意」だけではない

「水分を取ってください。」

「無理しないでください。」

そう声をかけるだけでは、職場の熱中症対策として十分とは言えません。

暑さの感じ方には個人差があります。

体調にも差があります。

忙しい現場では、本人が不調を言い出せないこともあります。

だから、本人の自己管理に任せすぎず、

  • 早く気づく
  • 報告できる
  • 作業を離れられる
  • 冷却できる
  • 必要なら医療につなぐ

という職場の仕組みが重要です。


EARLY RESPONSE

早く気づき、重篤化を防ぐ。

01異常に気づく本人・周囲・報告体制
02作業離脱安全な場所へ移動
03冷却・観察手順に沿って対応
04医療判断必要時は速やかに医療へ

2|2025年6月から、職場の対応が強化された

厚生労働省は、職場の熱中症による重篤化を防ぐため、労働安全衛生規則を改正し、2025年6月1日から施行しました。

対象となる暑熱作業では、熱中症のおそれがある人を早く見つけ、対応するための体制づくりが重要になります。

FACT

改正では、一定の条件に該当する暑熱作業について、

  • 熱中症のおそれがある作業者を把握するための報告体制
  • 重篤化を防止するための措置の実施手順
  • 関係作業者への周知

が求められています。

ここで大切なのは、

暑い職場すべてに、全く同じ設備を入れなければならない

という話ではないことです。

作業環境と対象条件を確認し、必要な体制と対策を整えます。


対象となる作業の目安

WBGT値28℃以上、または気温31℃以上の環境で、継続して1時間以上、または1日4時間を超えて行うことが見込まれる作業が対象です。条件を下回る場合も、熱中症が疑われる人がいれば対応が必要です。数値を「ここまでなら安全」という境界にはしません。

3|2026年ガイドラインから見る、対策の全体像

2026年の厚生労働省「STOP!熱中症 クールワークキャンペーン」では、新しい「職場における熱中症防止のためのガイドライン」に基づく対策が呼びかけられています。

特に、

  • WBGT値の把握
  • 早期発見体制
  • 重篤化防止手順
  • 関係者への周知
  • 健康状態への配慮

などが重要です。

熱中症対策は、一つの商品で解決するものではありません。

複数の対策を組み合わせます。


4|WBGTとは何を見る指標?

WBGTは、暑熱環境による身体への負担を評価するための指標です。

気温だけでなく、

  • 湿度
  • 風速
  • 輻射熱

なども考慮します。

つまり、同じ気温でも、直射日光が強い、機械から熱が出ている、風がない、湿度が高いといった条件で負担は変わります。

ひと繋ぎPOINT

「室温何℃か」だけでなく、作業者がどんな暑熱負荷を受けているかを見るためにWBGTを使います。

ただし、WBGTを測るだけで対策が終わるわけではありません。


FOUR LAYERS

熱中症対策は、人だけでなく4層で見る。

01人体調・水分・暑熱順化
02作業時間・休憩・強度・配置
03設備空調・送風・機械発熱
04建物屋根・壁・日射・輻射熱

5|人・作業・設備・建物の4層で考える

01|人

体調、持病、睡眠、暑熱順化、服装、水分・塩分、本人の訴えなど。

02|作業

作業時間、休憩、作業強度、時間帯、人員配置、連続作業など。

03|設備

空調、スポットクーラー、換気、送風、機械発熱、設備配置など。

04|建物

屋根、外壁、日射、輻射熱、断熱・遮熱、開口部など。

この4つを分けて見ると、対策の選択肢が増えます。


HEAT LOAD

「もっと冷やす」前に、熱の入り方を見る。

外気日射・輻射屋根・外壁機械発熱空調気流

6|空調を強くする前に、「負荷」を見る

工場や倉庫で暑いと、空調設定を下げたり、風量を上げたりしたくなります。

必要な場合もあります。

でも、建物や設備から大きな熱負荷が入り続けていると、空調側の負担も大きくなります。

確認したいのは、

  • 屋根・外壁への日射
  • 輻射熱
  • 機械・炉・設備からの発熱
  • 外気流入
  • 室外機周辺の環境
  • 気流
  • 空調の運転状況

です。

ひと繋ぎPOINT

「もっと冷やす」だけでなく、

そもそも、どこから熱が入っているのか。

を見ることが大切です。


7|遮熱・断熱などを検討するときの確認項目

遮熱塗装、断熱材、屋根改修、空調設備などは、現場の状況や施工条件を確認して比較します。

確認したいのは、

  • どこが熱いか
  • いつ熱いか
  • 表面温度と作業環境の関係
  • 空調負荷
  • 作業エリア
  • 施工可能範囲
  • 建物用途
  • 投資額
  • 維持管理

です。

効果は、建物、設備、施工、気象、運用条件等で変わります。

この商品を使えば必ず○℃下がる

という一律の説明ではなく、条件と測定方法を確認して判断します。


自社で考える

現場で決める|連絡先だけでなく、誰が動くか

緊急連絡先を掲示するだけでなく、異変を見つけた人が誰へ知らせ、誰が作業を止め、誰が冷却や救急要請を担当するかを決めます。担当者が不在の場合や、一人で作業する場合の連絡方法も含めて確認します。

具体的な対応は厚生労働省の手順例を基に整えます。様子がおかしい人を一人にせず、意識や応答に異常があるなど緊急性が疑われるときは、救急要請と身体の冷却を速やかに行う体制にします。

8|よくある質問

Q. 2025年から、何が義務になったのですか?

一定の暑熱作業について、熱中症のおそれがある作業者を把握する報告体制、重篤化を防ぐ対応手順、関係者への周知等が求められるようになりました。対象条件は厚生労働省の一次情報で確認します。

Q. WBGTを測れば十分ですか?

いいえ。WBGTは重要な判断材料ですが、作業管理、休憩、健康管理、教育、異常時対応等と組み合わせます。

Q. 冷却ベストや飲料だけで十分ですか?

個人対策だけではなく、作業方法、休憩、設備、建物、早期発見・対応体制も確認します。

Q. 空調温度を下げれば解決しますか?

職場条件によります。空調だけでなく、熱の入り方、設備発熱、気流等も確認します。

Q. 遮熱塗料を使えば必ず電気代も下がりますか?

一律に保証できません。建物、空調、施工範囲、気象、運用条件等で結果は変わります。実測条件と根拠を確認して判断します。


DATA

厚生労働省が公表した2025年の確定値では、職場における熱中症による死傷者数(死亡・休業4日以上)は1,803人、そのうち死亡者数は19人です。

すべての熱中症の発生件数を表す数字ではありません。集計対象と対象年をセットで読みます。


SOURCE|根拠を確認する

編集更新:2026年10月9日。制度・統計は掲載した資料の対象と時点をご確認ください。

SOURCE / EDITORIAL POLICY

出典と更新について

主な確認先:厚生労働省・職場における熱中症対策関連資料等。制度や統計、自治体の取り扱いは変わることがあります。ご判断の際は、掲載した出典と関係機関の最新情報をご確認ください。事実とSeeseeの解釈・問いを分け、分からないことは分からないと扱います。